映画『告発』- 理解して観る為の8つのポイント!~リアルに泣ける”法廷ドラマ”の傑作!~

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映画レビュー

『告発』ってどんな映画?ー作品概要ー



映画『告発』(Murder in the First)は、1995年アメリカの人間ドラマです。 
1930年代、悪名高きアルカトラズ刑務所で起こった悲劇を実話に基づいて描いた作品。
アルカトラズ刑務所で囚人を殺害したとして”第一級謀殺”を告発された青年ヤングと、彼の弁護を務める事になった新人国選弁護人ジェームスに芽生えた友情、そして”歪められた真実”に2人が立ち向かう姿を暖かくも辛辣に描いた感動作です。
監督はマーク・ロッコ。
そして脚本は『ワイアット・アープ』の監督&脚本(小説を執筆)を務めたイスラエル系アメリカ人、ダン・ゴードンです。(現.セドナ映画学校の創立者でもあった人。)
壮絶な悲劇に見舞われながらも純粋で優しい心を持ち続けた主人公ヤングの愛らしさ、切なさ。
そして、ヤングを演じるケビン・ベーコンのピュア&憑依的名演技が最大の見どころ!
観れば必ず”忘れられない映画”として心にストックされる事でしょう。

映画『告発』あらすじ


1941年アルカトラズ刑務所。
1人の囚人が裏切り者を殺し、第一級謀殺犯で告発されます。
囚人の名はヘンリー・ヤング。
裏切り者マッケインのせいで独房に連れていかれ、長期間壮絶な虐待を受け続けてきたのです。
独房から解放されてすぐ、食堂で見つけたマッケインに飛び掛かりスプーンで首を刺した。
ヤングの弁護を担当することになったのは、これが初仕事となる新人国選弁護人ジェームス・スタンフィル。野心溢れるアウトロー青年です。
躊躇なく檻の中に入ってヤングに話しかけ、自失しきってる彼の関心を引くことに成功します。
そして彼のピュアさに触れ、真実に近づくにつれ”違和感”は”確信”に変わっていく。
マッケインを殺したのは本当にヤングの狂気なのか!?…それとも彼以外の者の陰謀か。
悪魔の住む岩砦アルカトラズvs若き弁護人、緊迫の対決が始まる…!!

<主要登場人物紹介・キャスト>


・ジェームス・スタンフィル(クリスチャン・スレーター Christian Slater)
 若き国選弁護人。初めての依頼が第一級謀殺犯で告発されたヤングの弁護だった。

・ヘンリー・ヤング(ケビン・ベーコン Kevin Bacon)
 裏切った脱獄仲間を刺し殺し、第一級謀殺犯で告発された青年囚人。10歳の時、飢えに苦しむ妹の為に盗んだ5ドルのせいで25年の刑を受け、アルカトラズ刑務所に放り込まれた。

・ミルトン・グレン(ゲイリー・オールドマン Gary Oldman)
 アルカトラズ刑務所の副所長。あらゆる欲を満たす為、囚人に過度の虐待をしている鬼畜漢。

・メアリー(エンベス・デイヴィッツ Embeth Davidtz)
 ジェームスの同僚。女性でありながら国選弁護人として働けることに誇りを持っている。

映画『告発』の舞台、アルカトラズ刑務所とは?

映画『告発』/甘いシネマ


アルカトラズはアメリカの離島で、もともと軍事要塞として使われていました。
しかし南北戦争が始まってからは”監獄”としての役割を果たすようになり、1934年4月にアメリカ行政機関である連邦司法所に移管。
そして”アルカトラズ連邦刑務所”として開設されました。ここが『告発』の舞台です。
かつてはあの有名なギャング、アル・カポネも収容されていたそう。
しかしこの刑務所は「どんな極悪犯を完璧に取り締まることが出来る」事を世間にアピールする為の要塞で、悪名高き極悪犯から軽犯罪者まで手当たり次第・・・・・・に囚人をかき集めて収容してました。
しかし極悪人の牢屋はガラ空きだったので、経費を正当化しつつ私腹を肥やす為、ただの軽犯罪者たちにも”極悪犯”または”狂人”になってもらう必要がありました。
地下牢は、表向きでは肉体・知力・精神を回復させる”構成プロセス”の場でしたが、実状は軽犯罪者を地下の独房に監禁し、狂人になるまで壮絶な虐待を繰り返す”狂人養成所”だったと言われています。
数々の悲劇を産み、”悪魔の住み着く砦”と言われたアルカトラズ刑務所は、およそ30年の長き時を経て1963年、永久に閉鎖されました。

映画『告発』の見どころ・感想 ~理解して観る為の8つのポイント~


ケビン・ベーコン”魂の演技”が心に刺さる!


本作『告発』で特に胸を打つのは、不幸を背負って生まれた若き主人公ヘンリー・ヤングが”不条理に耐え忍ぶ姿”と行き場のない悲しみ、そしてささやかな希望・・・・・・・にすがる健気な笑顔です。

ヤングは10歳で両親を亡くし、17歳の時に飢え苦しむ妹に何か食べさせる為に5ドル(500円)盗み、アルカトラズに放り込まれました。
小さいのに同年代の友人も出来ないまま育ち、大人との接点が無いまま体だけ大きくなってしまった。
もちろん、妹としか触れ合ってないが故にとってもピュアな心の持ち主です。

映画『告発』/甘いシネマ


そんなヘンリー・ヤングを、ケビン・ベーコンが繊細に演じあげています。
子供のように大声で許しを請いながら怯え、震え、時に心を閉ざしてブツブツ…と呟く。
ジェームスとの初対面で目も合わさず隅っこに丸くなり小刻みに震える姿、そして次第に打ち解けてから見せ始めた”ワル気取り・・・・・“のニヤリ顔にグッとくる。(内弁慶的な可愛らしさ♡)
甘えん坊でヤンチャな素顔と、壮絶な虐待に怯える狂気を見事に演じ分け、勝訴よりも「ともだち」を切望した彼のピュアな気持ち・・・・・・・に憑依するが如く繰り出す表情の数々…。(思い出して泣ける。。)
12kgも体重を落として挑んだケビン・ベーコン、切なすぎる”魂の演技”が心に深く刺さります。

ゲイリー・オールドマンの鬼畜演技・・・・が直視出来ないレベル!

映画『告発』/甘いシネマ


ヘンリーのピュアさとは対照的に超絶・・ヒール役・・・・で登場するのは、ゲイリー・オールドマン。
奇人を演じさせたら当代随一!との呼び声の高いゲイリーは、本作でも抜かりない技を魅せてくれる。
髭剃りしながら牢に手足を繋がれたヘンリーに詰め寄り、迂闊にも(ワザと?)自分の首にナイフを掠ってしまった時の畜生顔・・・と、「動けない君に切りつけるよ~血を見るよ~」と言わんばかりに己の手のひらを切って血を見せる姿、生気の無い眼に身の毛がよだちます。。
前作『トゥルー・ロマンス』での怪演を忘れるくらいグレードアップした鬼畜演技・・・・・・ヤバい。
これはもう、直視出来ないレベル!そのくらい怖い!
ヤングに直接手を下したシーンはあそこだけなのに、それ以降は出てくるだけでもヒヤヒヤする。
形勢逆転ありか!?と思われた時の”逆切れ演技”も強烈で、見ごたえあり過ぎました。
そんなゲイリー・オールドマンですが、プライベートではとっても謙虚な方で、とっても子煩悩なんだそうです。(ギャップ萌えですね♡)

アメリカに於ける”第一級謀殺犯”って?ヤングが背負った刑について知っておこう

映画『告発』/甘いシネマ


先程から、ヤングが告発されたのが”第一級謀殺犯”であると説明してますが、そもそも”第一級謀殺犯”て何?って思いますよね。日本では馴染み薄いワードです。
映画やドラマではよく出てきますが、アメリカでは殺人罪が第一級、二級、三級と分けられています。
あらかじめ周到に計画し、意図的に殺人や重罪を冒すのが第一級謀殺、殺意はあったものの計画的ではなかった場合は第二級謀殺、殺意は無かったけど危険行為で死に至らしめた場合は第三級謀殺です。
なのでヤングはアルカトラズ刑務所によって、”独房でずっとマッケイン殺害を目論んできた凶悪犯罪者”に仕立て上げられてるんです。
第一級謀殺は25年の禁固刑、第三級なら25年以下の禁固刑。
でも、経費を正当化しつつ私腹を肥やしてきたアルカトラズ刑務所としてはヤングが”第一級謀殺”でなければならなかったんですね。

報道も味方に!世論を変えたジェームスの奇策が熱い!クリスチャン・スレーターのギラギラ感・・・・・も圧巻!

映画『告発』/甘いシネマ


ヤングの話し相手になり、彼を知るうちに恐ろしい実状・・・・・・が見えてき始める弁護人ジェームス。
しかしながらアルカトラズの報復が怖く、証言してくれる人間なんか一人もいない。
囚人も、政府も、弁護事務所も…。
優秀な弁護人である兄の言う通り、これは”負け訴訟案件”なのです。
それでも自分にとっては人生初めての訴訟であり、これが檜舞台ともなりえる。
俄然燃え上がる野心!
法廷を次に繋げるため、一緒に遊びたがるヤングを”ご褒美”で落ち着かせ、彼の身に起きた事や感じたことを聞き出していく。
…からの、法廷で繰り広げる”公開処刑”です!
共犯者がいる!と断言してしまう。裁判長や検事の制止を振り払い、証拠は無くとも打ち消しようがない事実・・・・・・・・・・・を叫び続けます。ヤングは手を揉み小さくなるばかり。
ヤングの苦悩を代弁し、耳を覆いたくなるような虐待経験・アルカトラズの偽証を、非人道的行為がまかり通る現実を、畳み掛けるように叫び続けるその姿は陪審員のみならず裁判官の心まで揺さぶるものでした。
そして決定打です。
マッケイン殺人はある不可・・・・による直感だったと説明します。

「凶器を持ち、マッケインの喉に刺した手は”他者の手”です!グレン副所長とハムソン所長、及びアルカトラズ刑務所を告発いたします!」

ホントに思いもよらない展開でした!!
この奇策は法廷内だけじゃない、報道陣をも味方につけ、世論を変える熱いものでした。
もちろん、ジェームスを演じるクリスチャン・スレーターの獣顔、ギラギラ感は圧巻です!

因みに、前作『トゥルー・ロマンス』でもゲイリー・オールドマンとクリスチャン・スレーターはバチバチの演技対決してました。クレイジーvsクレイジー対決で見ごたえバッチリ。
当時イケイケだったクエンティン・タランティーノの代表作でハラハラしまくり、超絶カッコいいクライム・エンターテインメント作品なので未見の方は絶対観てくださいね。


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人それぞれに「正義」は違うもの。愛ゆえの”哀しき矛盾”をヒリヒリ痛感!


せっかく陪審員や報道ジャーナリストたち、そして世論の思い込みを根底からひっくり返すことに成功したジェームスでしたが、当の本人ヤングだけは何故か思い通りにいきませんでした。
限られた貴重な時間なのに全然協力してくれないし、「一緒に遊ぼう♪」とウキウキしてて質問に答えてくれない。(このウキウキ顔が切ない。。)
それは”ジェームスの野心”と”ヤングの希望”はイコールでは無かったからです。
「ただ勝とうとすると、時に目的を見失う」というジェームスのナレーションが全て。
ジェームスは愛すべきヤングを勝訴させること・・・・・・・が正義だと信じましたが、ヤングにとっての正義は友情を育むこと・・・・・・・だけでした。

どうせ真実なんて権力で歪められる。アルカトラズで10年も耐えてきたヤングには分かってる。
だから限られた貴重な時間ギリギリまで、同年代のトモダチとトランプで遊びたかった。
残り少ない最後の時間まで一緒に遊び、仲良く過ごすことだけが希望であり正義だったんですよね。
<ジェームスが僕を勝たせようと頑張ってるのはなんでだろう?勝っちゃったら、あと10年もアルカトラズで虐待されるのに。。>と疑問に思ってしまう。
アルカトラズ刑務所に戻るくらいなら、ガス室で殺された方がずっといい…と心で願ってた。
でも、ジェームスは僕を勝たそうと必死で遊んでくれない。。
愛ゆえの”哀しき矛盾”をヒリヒリと痛感してしまう瞬間でした。人それぞれに「正義」は違うものなんだと胸が締め付けられます。

恋ってなんだろう?震えるしかないヤングに涙腺崩壊!


ヤングは妹以外の女性と交流した事がありません。
だから一度、ジェームスの引継ぎで弁護士メアリーがやって来た時、足を組んだスカートの中を覗きましたww。
イタズラっぽく笑って彼女を口説くその表情は、年頃のヤンチャ坊主そのもの。ワルい顔ww。
調子に乗っちゃったヤングは檻越しに彼女を触ろうとして、大声を出されてしまいます。
看守がやってきて「彼に何かされましたか?」とメアリーに尋ねる。
その時メアリーは、檻の隅っこで震えるヤングを見て「何でもありません。」と答えるんです。
ヤングは恋に関する情報が皆無だったし、からかってみたかっただけだったのでしょう。
学生時代に同年代の男の子がそうするように。。
成熟したメアリーにはそれが理解できたし、また切なかった。
「頼むからヘンリーと呼んで。女性からヘンリーって呼ばれてみたいんだ♪…一回だけ。お願いだ。」少年のような目で懇願したヤングに胸が苦しくなります。

映画『告発』/甘いシネマ


自分の彼女であるメアリーとのこの一件を聞き、機転を利かせたジェームスが”法廷速記人”と偽った娼婦ブロンシェを連れてきて看守不在の4分間・・・・・・・・で初体験させるという友情劇もありました。
「…ありがとうジェームス。…あんたはいい友達だ…。」と喜びましたが、いざとなると何もできませんでした。
純粋だから…。
恋が何かは知らなくても、これが恋じゃないことだけは分かる。
ブロンシェもジェームスも悪くない…。僕はできない…。
その時、ヤングの喜びの顔は”嘆きの涙”でいっぱいになります。溢れては落ちる涙…。
震えるしかないヤングの表情に、思いっきりもらい泣きです。
どうにも堪えきれず、涙腺崩壊してしまいました。。


娼婦ブロンシェを演じた女優はケビン・ベーコンの妻!忘れられない名シーン!


初体験が出来ず、恋の意味も解らなくなったヤングを慰め、抱きしめた娼婦ブロンシェを演じた女優はキーラ・セジウィック。
ケビン・ベーコンの妻で、13歳年下です。
本作撮影中の2人は、結婚して7年経ってました。
7年前の彼女は無名に近かったのですが、TV映画「レモン色の空」で共演したケビン・ベーコンと恋に落ち、結婚したんです。
(その翌年に公開された戦争映画『7月4日に生まれて』でトム・クルーズの恋人役を演じブレイク)

映画『告発』/甘いシネマ


愛する妻が娼婦ブロンシェを演じ、ケビン・ベーコンの役者魂は更に燃え上がったのでしょう。
「できない…。すまない…。」と総てを放り投げ、ただただ身を委ねる”嘆きの涙”。
不貞・恋・友情・喜び・苦悩・矛盾・逃避・感謝…全ての感情が爆発する、大切なシーンでした。
ずっと忘れられない名シーンです。

汚れの無い友情に心震える!


ヤングとジェームスは同年代です。
そして同じ時期に両親を亡くしています。(交流していく中で判明。。)
2人とも孤独な少年時代を過ごしていたのです。
でも、身寄りもなく小さな妹を抱えたヤングは孤児となり、仕事も無く500円を盗む。
一方のジェームスは家が裕福だったので、兄の援助を受けて寄宿学校→法科へ…。
その後2人は”犯罪者と弁護士“という関係でもって皮肉な出会いを果たしました。
それでも心は通じ合った。理由なんか要らなかったと思う。

先程、ヤングから事実を聞き出すため、ジェームスが一緒に遊びたがるヤングを”ご褒美”で落ち着かせたと書きましたが、この”ご褒美”はジェームスの上着の匂いを嗅ぐ権利でした。
ジェームスにカノジョがいる事を確信してるヤングは、その上着についた”女性の匂い”を嗅ぎたかったのです。
そして…それからしばらくの後、大人の事情でクビにされたジェームスと再会した時(メアリーとの一件があった翌日)、ヤングは面会ガラス越しに言いました。

「(メアリーが)あんたのカノジョだって知ってたよ。あんたの上着の匂い…覚えてたんだ♪

この言葉を聞いた時、いつもポーカーフェイスのジェームスの目から涙が…。
気付かれないように横を向いて、涙を拭いました。
面会ガラスに映った2人のあの表情…。あまりにも切なかったです。

絶対的な”負け訴訟案件”に「勝訴」が見えてきた時、それを望まないヤングは言いました。
「他に訴訟でやる事はないのか?訴訟が続く間は僕たち、話が出来る。」
でも、法廷でジェームスは言うのです。
「法廷の外では、君は僕のトモダチだ。だから君を死なせはしない。」

思い出すだけで涙が止まらなくなります。
この後2人がどうなったのかは書かない事にします。
見終わった時、汚れ無い2人の友情に心震えます。

最後に。


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今回は、法廷ヒューマン映画の名作『告発』を紹介しました。
実在のヘンリー・ヤングがどんな人物だったのか、本当の姿は分かりません。
後日談って「自分に都合よく」脚色出来ちゃうので、やはり”真逆の説”が存在しています。
何を事実として受け取るかも、観た人にとっての「正義」なんだと思います。



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