『RRR』ってどんな映画?
『RRR』は2022年、インド映画の巨匠S・S・ラージャマウリが監督・脚本を手掛けた大スペクタクル・アクション活劇。 インド映画新時代を牽引した衝撃作『マガディーラ 勇者転生』や『バーフバリ』シリーズで問答無用の超絶ヒーローを魅せ続けてきたラージャマウリ監督ですが、その集大成とも言える娯楽大作『RRR』を引っさげて5年ぶりに帰還! キュートでカッコいい<NEWヒーロー誕生>に、ラージャマウリ信者は勿論…世界中の映画ファンが大熱狂しています。 1920年イギリス領インド帝国を舞台に《非人道的な権力者 vs.独立運動者たち》の壮絶なる闘いを描いた叙事詩群像劇で、実在の革命家2人を模した主人公ビーム&ラーマが大活躍する「愛と復讐」の物語。 イギリスによる統治政治、非人道的収奪・弾圧は90年余り続いたインドの悲劇だし物語のベースにもなっているんだけど、主人公たちは溜め込んだ怒りや悲しみを軽快に吹っ飛ばす。 バウンドで跳ね返るゴムボールの如く軽やかに、自らの気で火や水を味方につけて革命を起こす。 難しい事なんか考えず、ただただ信じて突き進む! そのポジティブ・パワーが凄い! 見てるうちに、小さい頃なら誰もが持っていたはずの「純粋な生命力」が覚醒していく。 凄まじいポジティブ・マインドに加え臨場感たっぷりな映像美、生命力溢れる「ナトゥ・ダンス」、そして仕上げのカッコ良すぎるド派手アクション! もう心はメ~ラメラのバッキバキです!(チャージ!チャージ!) 各地で「RRR」イベントが企画され、映画館リピーターが続出するのは必然の事でしょう。 「韓流ブーム」の次を担うのは間違いなく「インドのエンタメ」。 そう確信させるに相応しい作品が、この『RRR』なのです。 |
『RRR』あらすじ

時は1920年、イギリス領インド帝国。 アーディラーバードの集落で暮らすゴーンド族の天才少女マッリが、偶然訪問してきた総督の妻に気に入られイギリス政府総督府に連れ去られる。 「この才女を暖炉の上に飾りたいわ♡」とねだる妻へ、スコット総督からのプレゼント。 マッリの集落に近いニザーム藩王国の特使がすぐに総督府を訪れ、「少女を返さなければ彼らの守護者がイギリス人に災いをもたらすでしょう。」と忠告したのですが、側近のエドワードは耳を貸さずこれを放置してしまう。 一方集落では、守護者ビームが《マッリ奪還》を誓い、仲間と共にデリーへ旅立つ決心をしていた。 素性がバレないようイスラム教徒(ムスリム)を装いアクタルという偽名での潜入を試みる。 時を同じくして、ビーム達が目指すデリーでは《独立運動家の釈放》を求める大群衆が警察署に押し寄せ乱闘パニックを起こしていた。 そこで砦を守っていた警察官のひとりが戦闘力抜群にして出世欲マンキンの漢、ラーマだった。 この時とばかり単身群衆へ突っ込んでいき、血まみれで歩を進め、正面突破の殺陣合戦にて首謀者を捕獲する。 ここまでしても昇進を拒絶されたラーマだったが、ビーム出現のお陰で絶好のチャンスをGETする。 「ビーム検挙で無条件の昇進」 さっそく独立運動家が集う集会場に出向いたラーマは、ふと付近で起こった列車事故に気付く。 偶然居合わせたビーム(ここではアクタル)と協力し、危機一髪の少年を救出。 完璧なチームプレーにてガッツリ握手を交わし、仲間意識が芽生えはじめる。 瞬く間に大親友となった2人。 お互いの素性も知らないまま…。 そして2人は、残酷なカタチで真実を知る事になるのだった…!! |
インド映画『RRR』<キャスト&登場人物の特徴>
コムラム・ビーム(演:N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)

主人公コムラム・ビームは、アーディラーバードの集落で暮らすゴーンド族の守護者。 ゴーンド族は争いを好まず、ひっそりと群れで生活しています。 仲間と一緒に暮らす幸せがあれば充分なので、無茶な収奪・抑圧にも基本的には目をつぶってる。 でも、群れを壊されたら黙ってない! 「羊飼い(守護者)」の出番です。 虎をも引き裂く怪力男、ゴーンド族の守護者、このコムラム・ビームが必ず連れ戻すのです。 コムラム・ビームを演じてるのはN・T・ラーマ・ラオ・ジュニア(N. T. Rama Rao Jr.)。 インド中南部ハイデラバード出身のテルグ語映画俳優です。 叔父は政治家、父は俳優というバックボーンもあって子役時代から人気を集めてました。 (彼の兄弟達もまた、政治家や映画俳優として活躍してるそうです。) クチプディ・ダンサーとしての活動もしているし(クチプディはインドの古典舞踊)、18ヵ月間の肉体トレーニングで体幹もメッキメキ!! 「ナトゥ・ダンス」のキレと躍動感がハンパ無いです。 愛くるしさ満点の笑顔、漢な豪快アクションで躍動感たっぷりにビームを演じあげています。 |
ラーマ・ラージュ(演:ラーム・チャラン)

もう一人の主人公ラーマ・ラージュはデリー近郊の警察署に務める警察官。 超人的な肉体と気炎でもって、狙った獲物は100%仕留める超絶スナイパーです。 だけど、型破りな行動を伴うマンキンの出世欲が周囲をドン引きさせている。 イギリス人上層部達はそんなラーマを脅威に感じてて「何が何でも出世させない!」と心に決めています。(出世してる警官のほとんどはイギリス人。) 「強固な決意」を胸に孤独な戦いを続けてきた彼だけど、待ちに待った出世任務中にアクタル(ビーム)と意気投合し、失いつつあった《心》を取り戻していきます。 そんなラーマを演じてるのはラーム・チャラン(Ram Charan)。 インド東部タミル・ナードゥ州出身のテルグ語映画俳優です。 父はテルグ語映画俳優チラン・ジーヴィ、叔父はテルグ語コメディー俳優アッル・ラーマリンガイヤという芸能一家で育ち、自らも役者の道へ…。 映画俳優デビューして間もなくラージャマウリ監督の目に留まり、『マガディーラ 勇者転生(2009年)』で主演を務めました。 高い演技力とカリスマ性を伏せ持ち、テルグ語映画界では「最も出演料が高額な俳優の1人」として評価されています。 もともとアクションに定評のある彼ですが、ラーマ・ラオ・ジュニアと同じく18ヵ月間の肉体トレーニングを受けて更に筋肉バッキバキ! 強い呪縛(トラウマ)を打ち破り、聖なる粛清へと覚醒していくラーマの表情変化も見事に演じあげています。 1人2役俳優の本領発揮なんですね。 |
ジェニー(演:オリヴィア・モリス)

ジェニーはスコット総督の姪。 スコットとは違い優しくて誠実、天真爛漫なご令嬢です。 マッリ奪還の為デリーに潜入したアクタル(ビーム)に一目惚れされ、彼女自身もアクタルの純粋さにどんどん惹かれていく。 一見天然ちゃんに見えるけど、育ってきた一族の「古臭い独裁体制」に嫌悪感があり、理不尽なことに対しては断固拒絶を貫き通す意志の強さがあります。 彼女は新時代の象徴であり、女神なのです。 そんなジェニーを演じてるのはオリヴィア・モリス(Olivia Morris)。 イギリス出身の新人女優さんです。 本作『RRR』と同年にアメリカの配信ドラマ「Hotel Portofino」、イギリスのドラマ「テンペスト教授の犯罪分析ノート」、HBOのドラマ「The Head」(日本からは山下智久も出演してるドラマ)にも出演してる新鋭有望株! そんな彼女が「純真さ」と「賢さ」を伏せ持つ魅力キャラ、ジェニーをとってもキュートに演じあげています♡ 主演2人との息もぴったり。(ダンスもね♡) 等身大なポジティブ・パワーでスクリーンを魅了しています。 |
スコット・バクストン総督(演:レイ・スティーブンソン)

スコット・バクストンは、イギリス領インド帝国の総督。 農村への襲撃、徴収、弾圧、果ては人身搾取まで…圧政の限りをし尽くしてきた鬼畜漢です。 …なんだけど、最近は独立運動家たちに命を狙われ始めてる。 長年虐げられてきた人々の反乱。 怒れる大群衆に脅威を感じ始めています。 そしてジワジワと忍び寄る「無敵な2人」…。 ・・・彼の運命や如何に!? スコット総督を演じてるのはイギリス人俳優のレイ・スティーブンソン(Ray Stevenson)。 40歳で大成した遅咲き俳優で、『マイティ・ソー』シリーズのヴォルスタッグ役や、HBOのドラマ「ROME[ローマ]」のティトゥス・プッロ役で全米を魅了した味わい漢俳優です。 そして2022年、本作『RRR』でインド映画デビューを果たしましたが…これが彼にとっての遺作となってしまいました。 日本を含め、世界中に一大ムーブメントを巻き起こした本作『RRR』が最後の花道となったのです。 眼光鋭い悪代官っぷり、彼らしく堂々たるものでした。 |
エドワード(演:エドワード・ソネンブリック)

エドワードは総督府の行政官で、スコット総督の側近です。 イギリス名門出の頭でっかち官僚なのか、世間知らずな一面が垣間見られる。 斜に構えて偉ぶってるけど、インド人が暴動や反乱を起こすのではないかと内心ヒヤヒヤして過ごしています。 報告・連絡・相談もせずに独断で動くから、時に今回のような一大事をも招いてしまう。 主の留守に大修羅場・・・。 「無敵な2人」を招き入れてしまうのです。 そんなエドワードを演じてるのはエドワード・ソネンブリック(Edward Sonnenblick)。 アメリカ出身だけど、インド北部のヒンディー語俳優(ボリウッド俳優)です。 ハリウッドでの苦節が長かったのですが、31歳の時に観たインド映画『ラガーン』に触発されてヒンディー語を学んだそう。そして移住。 ボリウッド映画では、主にイギリス人将校役や大佐役などを演じてるようですね。(TVの司会も務めたそうです。) 本作『RRR』では、使えない行政官エドワードを絶妙ないやらしさで演じあげています。 職場にもよく居ませんか?こーゆー人…的な小者感が満開です(笑) |
『RRR』のここが知りたい!<トリビア&撮影秘話>
『RRR』はトリウッド映画!インド映画の3大勢力を紹介!
本作『RRR』大ヒットが切っ掛けとなり、再びインド映画ブームが到来! S・S・ラージャマウリ監督の『バーフバリ』シリーズやラージクマール・ヒラーニ監督の『きっと、うまくいく』など..映画マニアを唸らす名作は多数あったしブームにもなったけど、マニアならずとも広く一般に知れ渡ったインド映画は《第1次インド映画ブーム》を牽引した1998年日本公開の『ムトゥ 踊るマハラジャ』以来かもしれない。 でもインド映画を楽しむ際、少し曖昧にされてる事項がある。 あれです。 ボリウッド?トリウッド?んんん~っ!?…のやつ(笑) ここでは、インド映画の3大勢力をサクッと図表化・紹介してみたいと思います。 |
トリウッド映画(Tollywood) | ●主にテルグ語 | <主な人気作品> ●『マッキー』 ●『バーフバリ』前編・後編 ●『マガディーラ 勇者転生』 ●『RRR』 |
●南インド、ハイデラバード近郊で主に製作 | ||
●ヒットメーカーはS・S・ラージャマウリ監督 | ||
ボリウッド映画(Bollywood) | ●主にヒンディー語 | <主な人気作品> ●『きっと、うまくいく』 ●『めぐりあわせのお弁当』 |
●北インド、ムンバイで製作 | ||
●スタイリッシュな作風 | ||
コリウッド映画(Kollywood) | ●主にタミル語 | <主な人気作品> ●『ムトゥ 踊るマハラジャ』 ●『ピザ!』 |
●東インド、チェンナイ市コダンバッカムで主に製作 | ||
●インド映画ブームの切っ掛けとなった |
上記の図を参考にすればザックリは理解できると思うので…ここから掘り下げていくと楽しみやすくなるかもしれません。 けっこう細分化され、土地柄や倫理観・作風も様々なので掘れば掘るほど深みにはまります(笑) ・・・で、本作『RRR』は一番上のトリウッド映画(Tollywood)に該当するわけです。 でも、基本的には何ウッドとか関係なく純粋に惹かれたインド映画を楽しみたい感じがしますね。 |
『RRR』の脚本・監督はS・S・ラージャマウリ監督!…原案を導いたのは彼の父だった。続編にも着手中!
『RRR』の脚本を書き上げ、総監督を務めたのはトリウッド映画の巨匠S・S・ラージャマウリ(S. S. Rajamouli)監督。 先述の通り、これまでも『マガディーラ 勇者転生』や『バーフバリ』シリーズで超絶ヒーローを誕生させて世界中の映画ファンを熱狂の渦に巻き込んできたわけですが…『RRR』を含めたこれらヒット作の裏にはもう一人の貢献者がいるのです。 それはラージャマウリ監督の父、K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード(K. V. Vijayendra Prasad)。 80年代後半から主にテルグ語・ヒンディー語映画で活動してる脚本家(4作品で映画監督も務めてる)で、『マガディーラ 勇者転生』、『バーフバリ』シリーズ、『RRR』などの原案は彼によるものなのです。 ラージャマウリ監督は、イギリス領インド帝国時代に産まれた父プラサードのスピリット・歴史的感性を受け継ぎつつ新時代ポジティブ・パワーで《NEWエンタメ活劇》に落とし込み、壮大なるヒーロー群像劇を形作っていく。 そして本作『RRR』ではインド人なら皆が知ってる革命ヒーローを架空の時代に登場させ、彼らの無念を昇華しつつ「憎しみや差別のないユートピア」を開拓し、映像化してる。 壮大な復讐劇なんだけど、後味として残るのは…無条件の幸福感。。 懐かしくも新しい「不思議な高揚感」と共に心が癒されていく。 因みに、プラサード氏は既に『RRR』続編の原案に取り掛かっているそうです。 今から楽しみで仕方ありません!! |
ナトゥ・ダンスのシーンはウクライナ・キーウで撮影された!「インドのスティーブン・スピルバーグが製作してるのよ!」…2国間の友情に涙腺が熱くなる。
皆さん、踊れますか?…ナトゥ・ダンス(笑) 絶対踊れないですよねww でも、アレが踊れたら最高に気持ちいいだろーなぁ。。 アツい友情、淡い恋心、そして世界平和がぎっしり詰まったナトゥ・ダンス。 この気持ちよさは後程じっくり語るとして…。 このナトゥ・ダンスのシーン、実はウクライナのキーウで撮影されました。 『RRR』の撮影が始まったのは2018年。 2018年と言えば、、コロナ禍で世界中が大パニックに陥っていた頃。 そのせいで、撮影は何度も中断されてました。 2021年に撮影が再開されたものの、イギリス&アイルランド俳優たちはインドに入国出来なかった。 逆を言えば、インドの映画スタッフがイギリスに出向くことも出来ない。 そこで諸外国で合流できる適任場所が無いか検討し、最終的にウクライナに決定したんだそうです。 ウクライナが凄惨な戦場と化す少し前の事です…。 |
撮影にはアンナ・パレンチュク率いるウクライナの製作会社「435Film」が参加。 (↑アンナ・パレンチュク&ラージャマウリ監督のツーショット) 「ナトゥ・ダンスのシーンはマリインスキー宮殿がいい!」…というラージャマウリ監督の強い願いを受け、アンナ・パレンチュクは直接ウクライナ大統領府に掛け合いました。 そしてマリインスキー宮殿を2週間借りることに成功! …これって凄い事です。 現地人の誰もが「不可能だよ!」って思ってた。 この宮殿は大統領の公邸で、会談やレセプションを開催する場でもあったから。 でもウクライナは、インドが政治的・経済的・観光において非常に重要な国であるとし、友好の証として貸し出した。 アンナは「インドのスティーブン・スピルバーグが製作してるのよ!」と熱心に訴えたんだそうです。 「ナトゥ・ダンス」のシーンは一番重要で、尚且つ一番難しいシーン。 皆が一丸となって揃わないといけない。 インドの振付師&ウクライナの振付師が一致団結して撮影に挑みました。 |
そして…この後ロシアの全面侵攻が始まり、ウクライナでの撮影続行は不可能に・・・。 外国映画製作者にとって、ウクライナは撮影が実行不可能な場所となってしまいました。 でも、アンナは希望を持ち続けてるそう。 「戦争が無ければ撮影が続行できた。戦争が終わったら必ず『RRR』を大スクリーンで鑑賞する。世界の映画業界を揺るがすであろうこの超スペクタクル作品は、出来るだけ大きなスクリーンで観るべき。その時にはインド大使館を通じてラージャマウリ監督を招待したいと思ってる。」 そしてラージャマウリ監督は… 「たくさんの幸せをもたらすはずの『Naatu Naatu(ダンスシーン)』は、スクリーンで見るたび本当に心が痛む。 この国が戦争によって耐えなければならなかったものを知り、打ちのめされた。 ウクライナ撮影中に一緒に働いた人々の安否について尋ねたが、大丈夫な人もいれば連絡がつかない人もいて…。少しでも早く連絡がつくことを願っています。 「Naatu Naatu」の制作に多大な役割を果たしてくれたウクライナ国民に感謝している。」 2国間の熱い友情にグッときます。 早く平和な世の中が戻ってきて欲しいです。 美しいウクライナの風景も、優しい人々の笑顔も。。 |
「ナトゥ・ダンス」のイギリス貴族ジェイク役は…誰?

「ナトゥ・ダンス」でビームの恋敵ジェイクを演じてる俳優さん、気になりませんか? 私も気になったので調べてみました。 彼の名はエドゥアルド・ブハク(Eduard Buhac)。 出身地や年齢は不詳ですが、ロンドン在住のダンサー・俳優・映画監督だそう。 ロンドン・アカデミー・オブ・ミュージック&ドラマティック・アート(London Academy of Music and Dramatic Art)に所属していて、イギリスのTVシリーズやルーマニアの映画にも出演してる。 フラメンコ・社交ダンス・ショーダンスなどに堪能で、ギターも弾くそうです。 そして英語、ルーマニア語、フランス語…と3か国語を話すことが出来る。 めっちゃ才能豊かなので、『RRR』での好演を切っ掛けにもっともっと羽ばたきそうな予感。。 ダンス対決で負けた時の「くっそぉ~っ!」顔が…妙に微笑ましくて印象深かったです。 今後の活躍にも注目していきたいと思います。 |
『RRR』は頭文字だった!? …元々の由来に思わずニンマリ。
これはプチ情報ですが・・・。 『RRR』というタイトル名の由来を知って…思わず笑ってしまいました。 実は..。 「R」- Rajamouli(ラージャマウリ) 「R」- Ram Charan(ラーム・チャラン) 「R」- Rama Rao Jr.(ラーマ・ラオ・ジュニア) 監督&主演2人の頭文字を取った「仮タイトル」でしたww。 だけどこの「RRR」という響き・・・悪くない。 「全ての言語に有効だし、理解されやすいし…何よりキャッチーじゃね!?」くらいの大胆さで正式なタイトルになった模様。。 でも大正解だと思う! 親しみやすいしスタイリッシュだし…何気に象徴的な香りもする。 小さな子供からお年寄りまで覚えやすい。 それと内緒だけど…ちょっと言ってみたくなる(笑) 考察が得意な映画マニアなら「新説誕生」も不可能じゃない! 考えれば考えるほど、、なんかニンマリしてしまうのです。 |
『RRR』は『バーフバリ』シリーズの最強ブレーンが再結集している!
ラージャマウリ監督の代表作品として超絶大人気なスペクタクル叙事詩アクション映画『バーフバリ』。 『バーフバリ 伝説誕生』(2015年)と続編『バーフバリ 王の凱旋』(2017年)を初めて観た時、正直…平和ボケしてた脳内に革命が起こりました。 人間という生き物の根源を見た…というか、使い忘れて錆びつき始めてた細胞の一つ一つが息を吹き返していく感覚。 壮大な復讐劇で神話や歴史が絡んでるものの、初見にも分かりやすいストーリーとド迫力の映像美、漢な群像ロマン、運命を揺るがす大恋愛、そんなわけない超人的アクションが怒涛の展開で繰り広げられる。 (ラージャマウリ監督は脚本を書く時、10分ごとに観客の心拍数を上げるような場面を練り上げてストーリー構成していくそうです。) 『バーフバリ』は日本でも「絶叫上映」「爆音上映」イベントが行われたりして、これらの6年前に公開された『マガディーラ 勇者転生』(2009年)まで復刻劇場公開されてました。 そんな代表作『バーフバリ』シリーズと『マガディーラ 勇者転生』でタッグを組んだ最強ブレーンが、本作『RRR』でも撮影スタッフとして再結集してるんです! 音楽担当のM・M・キーラヴァー二、撮影監督(カメラ)のK・K・センティル・クマール、衣裳担当のラーマ・ラージャマウリなどなど・・・。 ん!? ラーマ・ラージャマウリ!? そうです…名前から察するとおり、衣裳担当のラーマ・ラージャマウリは監督の妻です。 妻ラーマは映画スタイリストでありコスチューム・デザイナー、そして衣装デザイナーなのであります。 ラージャマウリ・スピリットを熟知した妻が衣装デザイナーだなんて最強! 衣裳って作品イメージの象徴だったり、作品名と共にパッと思い浮かぶ残像だったりもする。 形として残るイマジネーション。 場面場面に於いて、その衣裳の色・デザインが何を意味してるのか考察すると・・・更に深みにハマるかもですがww。 |
主人公2人に投影されたインドの歴史的英雄って、誰の事?
先述の通り、『RRR』の主人公2人は実在の革命家(革命指導者)を模して作り上げられたヒーローです。 ハイデラバード州ゴンド族のコムラム・ビームと、マドラス管区のアッルーリ・シータラーマ・ラージュ。 同世代だし、隣接する地域で活躍した革命指導者だけど…実際にはこの2人が出会う事は無かったそうです。 なんだけど、ラージャマウリ監督は「2人の物語(人生)がとても類似してる」ことに気付いて大興奮! (シンクロニシティーの概念を感じ取ったのかもしれませんね。) この2人がお互いに影響し合っていたら…運命的に出逢い、共に手を取り合っていたらどうなっていただろう…!? そうやって想像力を膨らませ、2人が歴史上に登場する前の空白時代…1920年のデリーで出逢わせてしまう。 共に革命を起こすだけじゃなく、普通の青年として友情や恋をも育む姿をもイキイキと描き出していく。 実際には…ラーマは25歳にして銃殺されたし、ビームは39歳まで闘うも武装警官に殺され、燃やされた。 インド独立を象徴する革命家であり、その武勇伝が現在でも語り継がれる2人なのです。 |
さらに、この2人はインド神話最大の英雄にも例えられます。 ●アッルーリ・シータラーマ・ラージュ=神話「ラーマヤナ」のラーマ ●コムラム・ビーム=神話「マハーバーラタ」のビーマ 「ラーマヤナ」の主人公ラーマはヒンドゥー教主神の化身で、バラ色の瞳を持つ英雄。 シーターを妃とし(一緒ですね)、ヴィシュマ神の弓サルンガを持っています。 (このサルンガという弓は、森林戦でラーマが使った武器とも酷似してて、太陽神「光弓」に似せたもの。) 太陽の炎と光で出来ていて、標的を逃さない知恵と遠くまで飛ばす腕力、命中させる動体視力を授けるとされています。 劇中のラーマの象徴「火」にも関連付けられてるかもしれません。 そして革命家アッルーリ・シータラーマ・ラージュは、サンヤシ苦行する為に定住した山岳民族から絶大な人気があり、実際に<ラーマの化身>とまで言われてたそうです。 「マハーバーラタ」の主人公ビーマは一万頭の象に等しい腕力の持ち主で、幼少から超人的な腕力の持ち主でした。(劇中でラーマを担ぐ「肩車のシーン」にも象徴されてる…?) 大食漢で、5兄弟家族配分の半分を食べつくしたそう。 因みにインドでは、怪力の持ち主を指して「ビーマ」と呼ぶ風習が現在でもあるそうです。 そのくらい「ビーマ」ってポピュラーな存在なんですね。 終盤の闘いで流れる曲中、ビームの名がさり気なく「ビーマ」に変換されてて、ビームがビーマの化身であることを印象付けてる気がします。 あと、劇中ではラーマの父が殺されてましたが…史実ではビームの父が殺されています。 神話、史実、映画、それぞれで登場人物の境遇が入れ替わっていたりもするので、これまた色々調べていくと深みにハマる(笑) 是非やってみてくださいww。 |
『RRR』に登場した女性の絵…誰!?
劇中ラーマが忍び込んだ独立運動家の集会のシーンで、最後に象徴的な絵画が見切れてます。 「母なるインドを讃えよ」の絵。 蓮の上に立ち、ライオンを伴い、国旗を掲げてる女性の絵です。 日本人の私にとっては面識無い絵でしたが、妙に気になったので…特徴を執拗に打ち込んで(笑)調べてみました。 で、ヒットしたのが「バーラト・マータ」の絵。 バーラト(インド)・マータ(母)=「母なるインド」の絵。 この女性はヒンドゥー教の女神(ドゥルガー)で、シヴァ神の妃をモチーフにして描かれているようです。 インド独立運動の象徴として1904年頃に描かれ、広く浸透したものらしい…。 だからこのシーンで使われたんですね。。 見切れる部分にも「史実」が潜んでる。 …勉強になります。 |
インド映画『RRR』<見どころ&感想>
群衆 vs.ラーマ、過激なる大捕物シーンに震えが止まらない!
これは、わりと冒頭で繰り広げられる大捕物シーン。 ラーマがいかに過激な男であるかを思い知らされる8分間。 英領インド警察が独立運動家を逮捕し、怒った国民達が炬火ごと押し寄せ大暴動を起こしてる。 警察は呆然と立ち尽くすだけ…もはや制御不能、危機一髪の事態。 鉄格子が大きく揺れるのを見ながら死を覚悟する。 応援部隊がここに到着するまでに、少なくとも7時間はかかる。 怒れる民を率いてるのはたった1人のカリスマ。 でも、彼が鎮座してるのは群衆の奥…簡単には捕まえられそうに無い。 居ても立ってもいられなくなった司令官は… 「逮捕しろ!あの者をここへ連れてこい!」と叫ぶ。 すごい無茶振り(笑) もちろん、「イエッサー!私が!」とは誰もならんww。 ハズなんだけど・・・ 1人の警官が帽子を脱ぎ、棍棒を手にし、鉄格子を飛び越え、無言のまま群衆に突っ込んでいく! ほぼ丸腰で! 次々と襲い来る群衆のリンチを振り払い、頭に石をぶつけられても突き進む。 血だらけだけど、超人的な怪力と跳躍力、動体視力でもって標的までまっしぐら! まるで人間弾丸のよう。 死をも恐れぬ荒技でターゲットを狙う! そして…この男こそがラーマでした。 過激かつ臨場感たっぷりなアクション演出に胸の震えが止まらない。。 冒頭からガッツリ心を掴まれる。 そして、これこそがラージャマウリ監督の世界観なのです。 |
「ナトゥ・ダンス」が楽しすぎる!思わず体が動いちゃう!? テンション爆上がりの集団パフォーマンス!
もう何十回も観た(笑) 「ナトゥをご存じか?」…で始まる「ナトゥ・ダンス」のシーン。 ダンス自慢&持ち前のハンサム顔で「モテ男」気取りなイギリス人貴族ジェイク。 ー パーティーの主役は俺だ! ー 自信満々でジェニーを口説くんだけど…突然現れた初見のインド人にあっさり持っていかれる(笑) 「なんなん!? 主役は俺だぞ!ジェニーをGETするのも俺だ!…こんなインド人に何が出来る!」…くらいのチキショー顔でビームに意地悪を仕掛けます。 ー ジェニーの前で恥をかかせてやる! ー ダンス中に転ばされ、貴族たちに笑われるビーム。 すぐさま駆けつけ、「ナトゥ・ダンス」で助太刀するラーマ。 ・・・これが「ナトゥをご存じか?」までのザックリな流れ。 「ナトゥ・ダンス」が初めてのジェイクと、「ロイヤル・パーティー」が初めてのビーム&ラーマ。 ここは正々堂々と戦おうぜ! 男らしくて躍動的、見てるだけで楽しくなる「ナトゥ・ダンス」は、すまし顔の貴婦人たちをも巻き込みどんどん勢力を増してしていく。 到着時はアウェイだったビーム&ラーマですが、楽しいダンスで一躍パーティーの人気者に♪ 「だったら俺たちのナトゥ・ダンスも見ろ!」…ジェイク率いるイギリス貴族たちも、見よう見まねで参入してくる。 「イイね!」と笑顔で受け入れるラーマ。 ジェイク青年はイギリス貴族(支配する側)育ちだから、インドのダンスだけ知らずに生きてきた。 このダンスを初めて知り、純粋に心震えた。 人種問題も偏見も無い「純粋なる饗宴」に皆が酔いしれていく。 若者たちの未来は明るい。 踊り疲れたら負け!それだけの事。 最終決戦でビームが勝者になるよう、ワザと「疲れたフリ」で負けたラーマの思いやりにもホッコリします♡ |
この「ナトゥ・ダンス」、これまでの映画人生で一番大好きなダンスシーンです。 無条件で幸せな気分になる。 目いっぱい大きく振りかざす腕、力強く蹴り上げる足がパワフルすぎて力湧いてくるし、砂埃立てて踊る2人の姿は圧巻のカッコよさ! まるでアクション・シーンを見てるかのような気分にもなる。 なのに..めちゃめちゃ可愛いんです♡ 2人が放つ満面の笑み、キュートな仕草が《幸福モチベーション》を爆上げしてくれる。 そして国・人種・階級・性を超えた「ラブ&ピース」な一体感! ドレスを纏った貴婦人たちも、ぶんぶんスカート振り回して踊りだす。 大勢で踊るこのシーン、実はジェニー役以外は全員「435Film」が集めたプロ・ダンサーだそう。 エキストラなんかじゃない。 だからこその壮絶一体感! ウクライナ製作スタッフのプロフェッショナル根性に、ラージャマウリ監督も心から刺激を受けたそうです。 そして感謝してる。 このシーンは、いろんな意味で「平和の象徴」なのですね。 |
インドの女優さんが美人すぎる!アーリヤー・バットの新作はNetflixで8月から配信!

『バーフバリ』シリーズを観た時も思ってたんだけど…。 インドの女優さんてホント美しい♡ 美人すぎて…女の私でもウットリしちゃう。 本作『RRR』でシータを演じたアーリヤー・バット(Alia Bhatt)も例外じゃない。 要注目ですよね! 父親は映画監督マヘーシュ・バット、母親は女優のソニ・ラズダンというサラブレット育ち。 6歳の時に父親が脚本を担当した映画『Sangharsh』で子役デビューしたんだけど、その後しっかり演技を学び…19歳で主演映画デビューを果たしてる。 そこからコンスタントに映画出演し続け、インドで最も権威ある「フィルムフェア賞」で4回も主演女優賞を受賞。 実力派女優としての地位を確立しました…。 本作『RRR』では、幼馴染で婚約中のラーマを甲斐甲斐しく待ち続けるシータを熱演。 出番こそ少なめだけど…溢れ出る女神オーラで大きな爪痕を残してる。 潤んだ大きな瞳で「包み込む優しさ」を滲ませ、エンディング・ダンスでは天真爛漫にして無垢な笑顔で魅了する。 その姿は「惚れてまうやろー!」…を連呼したくなるキュートさ♡ で、近々…。 彼女のハリウッド・デビュー作『ハート・オブ・ストーン』が公開されます! ガル・ガドットが主演&製作のスパイ・アクション映画だそうです。 8月からNetflixで配信が始まるので…これは要チェックですね! |
キラーシーンが目白押し!息つく暇なしのジェットコースター・ムービー!
トリビアとか感想とか・・・色々と話してきましたが、結局『RRR』の魅力って「楽しい!」…なんですよね。 「とりあえず行こーよ♪楽しいから♪」って気軽に誘えるレジャーランド。 体験したこと無いアトラクションがいっぱいある。 ①いきなり何万人もの大群衆が襲ってくる(もちろん力業で強行突破!) ②怒り狂う猛獣と遭遇(素手で闘う) ③爆破&炎の鉄道橋からダイブする! こんな感じで、序盤だけでもクライマックスさながらのキラーシーンが目白押しなんです。 で、これらの「凄い!」が全部前フリとして使われてるという驚き! 出し惜しみなんか一切しない。 ほんま…どんだけサービス精神旺盛なん!? 猛獣が暴れるシーンも凄い! 本物と大差ないほどにリアル映像化されてて、思わず「ひぃぃ~っ!」ってなる(笑) 中盤のクライマックスシーンでも豪快に登場するけど…こんなリアルなアニマルたちは見たこと無いです。 映像クオリティー高すぎる!! 主人公を模した「炎と水」の演出も、まるで巨大生物が暴れてるようなダイナミックさでした。 これらド迫力映像と衝撃ストーリーが相まって、一瞬たりとも退屈しない。 友情ターン、ロマンスのターン、復讐活劇ターン…ホッコリした甘酸っぱさと壮絶が交互にやって来る。見逃せないシーンの連続なんです! まさにエンタメの極み!…ですね。 一度乗ったら後戻りできない、したくない…そんな激熱ジェットコースター・ムービーなのです! |
王道だけど心に沁みる…ピュアすぎる友情劇!
しかし、ラージャマウリ監督の映画はガツン!だけが「楽しい」ではない。 もう一つの「楽しい」はピュアな友情劇! 王道だけど心に沁みる演出が沢山ある。 たとえば炎の海で溺れる子供を助けるシーン。 目と目があった瞬間に(しかもすごく遠い距離で)2人の思いが一致する。 「俺らが組めば絶対救える!!(心の声)」 遠くから頷き合った2人は初対面とは思えぬ連携プレーで空中を舞い、子供を救い、炎の中でガッツリ握手! …こーなったらもう、お互いの素性なんてどうだっていい。 「俺たちは親友だ!」 ベタに肩ぐるまでじゃれ合ったり、「あはは!」と追いかけっこしたり、バイクで2ケツしたり。。 昭和なノリで友情を育む…(笑) で、やっぱり笑顔がかわいい♡ めちゃめちゃ微笑ましくって、郷愁と共に暖かいものが心いっぱいに広がっていく…。 で、これらじゃれ合いシーンのひとつひとつがファイナル・バトルへの伏線になってる。 本当に素晴らしい! 王道だけどスゥ~っと心に沁みる…そんなピュアな友情劇がタマらなく愛おしいのです。 |
カッコ良すぎる「肩ぐるま戦」にテンション爆上がり!
おそらく、最近見たアクションシーンの中で一番カッコいいやつ。 「肩ぐるま戦」が激アツです! あんなに微笑ましかった肩ぐるまが、危機一髪で最強の武器に大変身する。 ビームが全腕力で幽閉檻を吹っ飛ばし、捕らわれし最強スナイパー、ラーマを担いで敵陣を強行突破。 2人でこその無双、2人でこその過激! 一心同体の連合アクションがヤバい! ラーマの両手には敵から奪った銃、ビームの動きに合わせてガンガン撃ちまくる。 その時、ラーマの合体角度は90℃! 神懸ったアクロバティック乱射に大興奮です! 覚醒度満点のアクションシーン!! 燃え滾る野生の応酬にテンション爆上がりなのです! これは映画史に残る名アクション・シーンだと思います。 |
最後に・・・。
これでもか!ってくらい『RRR』を語り尽くしてきましたが…楽しんで頂けたでしょうか。。 本当はもっと語りたいけど、「それは見てのお楽しみ♡」も大切。 私はもう一回観ます♪ ・・・もっとかな?(笑) そして続編を心待ちにしています。 インド映画の未来は明るい!! |
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