インド映画『めぐり逢わせのお弁当』おすすめインド映画!~忘れられない14の理由~

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映画レビュー

『めぐり逢わせのお弁当』ー作品概要ー



映画『めぐり逢わせのお弁当』(The Lunchbox)は2013年製作のインド・フランス・ドイツ合作映画です。
監督は『夜が明けるまで』『ベロニカとの記憶』『フォトグラフ ~あなたが私を見つけた日~』など、インド以外の国でも大活躍中の若き新鋭リテーシュ・バトラ監督。
主演は、ハリウッドでも人気だったインドの名優イルファン・カーンです。

インドの大都市ムンバイで、毎日作り立てのお弁当を職場へ運ぶダッバーワーラー。
自転車に沢山のお弁当を括り付け、ほぼ100%、間違いなく届け先と家を行き来することで有名な弁当配達人たちです。
そんな、100%間違えないダッバーワーラーがお弁当を誤送してしまうという奇跡が起こり、ヒロインの愛妻弁当が見知らぬ男の元へ…。
それを切っ掛けにして様々な人間関係、人生模様が絡まり合っていく様子を”不器用な大人たち”の恋や家族愛を通して描いてる感動作です。
ミュージカル一切無し、しっとりハートフルなヒューマンドラマです。

『めぐり逢わせのお弁当』ーあらすじー


インドのムンバイで暮らす美しき専業主婦イラ。
家事の傍ら幼き娘をスクールバスに間に合わせ、ダッバーワーラー到着に間に合うよう手際よくお弁当を調理する。
今日のレシピは上の階に住むおばさんからアドバイスされたスパイス配合で、いつもとは一味違う。
ランチ時間が過ぎ、ダッバーワーラーの手によって返還されたお弁当は案の定空っぽ!
嬉しさに心湧き立ち、これを切っ掛けに”冷めきった夫の愛”を取り戻そうとするイラ。
しかし、帰ってきた夫はイラに見向きもせず素通り…お弁当に入ってなかった野菜を「美味しかった」と言う。
イラのお弁当は、ダッバーワーラーによる誤送で”見知らぬ男”に届いていたのでした。
それでも完食してくれた誰かがいた事に感動し、翌日のお弁当に”感謝の手紙”を隠し入れました。
完食したのは妻に先立たれた独り身男性で、早期退職を来月に控えた気難し屋サージャン。
滅多に心を露にしない彼も、お弁当の美味しさにグッときたようで”返事の手紙”を忍ばせます。
そして、これを機に始まった<お弁当文通>が2人の人生を大きく変えていく…。

ー『めぐり逢わせのお弁当』キャスト紹介ー


サージャン役 – イルファン・カーン(Irrfan Khan)


サージャンを演じてるのは、インドが誇る名優イルファン・カーンです。
『スラムドッグ$ミリオネア』での刑事役、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』での成人した主人公、『インフェルノ』のハリー・シムズ役など、インドだけじゃなくハリウッドでも大活躍しました。(2020年の映画『イングリッシュ・ミディアム』を最後に亡くなってしまいました。。)
本作では、気難し屋のサージャンに芽生えた人間臭い感情・・・・・・を独特の湿り気でもって好演しています。

イルファン・カーンの俳優データはこちら

イラ役 – ニムラト・カウル(Nimrat Kaur)

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


イラを演じてるのはニムラト・カウル。
インドの女優さんだけど、アメリカの大人気TVシリーズ「HOMELAND」で準レギュラーを務めた実力派。
本作では、愛も冷め切った夫との日常に悩み、会ったことも無い男性への恋心に身を焦がす美人妻イラをシットリ演じてます。
基本保守的なイラ。だからこそ大胆な行動に踏み切った時の爆発力は凄かった。
燃え上がる情念、妙に色っぽかったです♡

シャイク役 – ナワーズッディーン・シッディーキー(Nawazuddin Siddiqui)


シャイクを演じてるのはナワーズッディーン・シッディーキー。
『LION/ライオン ~25年目のただいま~』にも出演してましたね。
彼も世界を股に掛けた俳優さんで、デビュー3作目となる本作で人気に火が付きました。
この後、本作の監督リテーシュ・バトラの2019年度作品『フォトグラフ ~あなたが私を見つけた日~』で主演を務め、高く評価されました。
本作では、お調子者だけど憎めないシャイクを好演し、涙腺を熱くさせてくれました。

ー『めぐり逢わせのお弁当』の感想&考察ー~忘れられない14の理由~


魔法のような奇跡を作り出したダッバーワーラー

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


毎日昼前に主婦たちが作ったお弁当を自転車⇒列車⇒会社へと暖かいうちに送り届ける弁当配達人ダッバーワーラー。
先述の通り、100%送り先を間違えない彼らは一日20万個ものお弁当を約500人で分配してるそう。
冒頭のシーンでもわかる通り、雨の中でもびしょ濡れになって任務を遂行します。
誤送確率は何と1/600万!
アナログにして最強の仕事人なんです!

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


そんな彼らの”希少な誤送”が…いや、魔法のような奇跡・・・・・・・・が主人公たちの人生を大きく変える事に。
浮気夫に悩む美しきイラと、妻に先立たれた気難しい男サージャンを奇跡的に出逢わせたのはダッバーワーラーの魔法。
そして、ハイテクじゃない彼らだからこそ成し得た2度目の奇跡・・・・・・
ダッバーワーラーは、最強の仕事人にして最強のメッセンジャーなんですね。

出逢い以前のサージャン&イラ


出逢い前のサージャン

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


子供無し、妻には先立たれ、誰とも心を交わさない気難し屋でした。
子供を知らないから、家の前でボール遊びする隣近所の子供たちにキツく当たり、追い払う姿も。
会社と家の往復生活で、ランチは配達サービスのお弁当だし夜食はレトルト食。
ベランダでタバコを吸い、先ほどの子供たちの家族団欒を覗き見るも窓を閉められ、シーンとした夜を過ごしてました。
人懐っこい部下シャイクとの交流が始まるまで、社内で自分が”冷徹漢呼ばわり”されてることを知らなかったくらいに社内でも孤立してました。
イラと心が通じるにつれ周囲が見えてきた彼は、亡き妻との思い出を回想しますが…その思い出から察するに、妻が生きてる頃もちゃんと妻と会話してなかった。
録画したドラマをヘビロテし、同じシーンで笑う妻をベランダから見つめてただけ。
サージャンの妻は、今のイラみたいに孤独だったでしょう。

出逢い前のイラ


幼い娘を持つ専業主婦で、毎日家族の食事を作り、夫や娘の身支度をし、ダッバーワーラー到着に間に合うようにお弁当を作り、家事に追われるだけの生活をしてました。
娘と向き合う余裕も自分と向き合う余裕もないまま日々を過ごし、家族間の会話は途絶え、夫は浮気に走ってる。
イラが会話を交わすのは上の階に住むおばさんだけ。料理してる間、窓越しに会話する。
顔が見えないから好きなことを言える。
お互いに”見えない相手”の話を、見えない状態で話してる。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


直接会う余裕なんか無く、窓から垂らしたカゴを使って調味料や野菜を渡し合い、大声で会話する。
見えないおばさんとの会話だけが、彼女と世の中を繋いでたのです。

上の階のおばさん、何故声だけ?


「今、笑ってるね。」とか、顔を見ずともイラの表情を汲み取ってくれるおばさん。
何故なら、一緒に暮らす夫にも表情が無いから。
夫は病床にあり、起きてる間はずっと天井のファンを見つめてて彼女の顔すら見ない。
ファンの世界だけで生きる夫とは介護だけの関係・・・・・・・で話が出来ないので、無言のメッセージを読み取るしかなかった。読心力が冴えまくってるんですね。
だから、姿を見ずともイラの気分なんか余裕で分かっちゃう。
息遣いや足音、料理の音や香りでほぼ正確に読み取っちゃうから愛の力って凄い!

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


普通なら気が狂っちゃいそうな食事・おむつ・風呂入れ・薬だけに追われる日々を、古いカセットに録音した映画音楽やラジオで吹き飛ばし、元気な声で話を聞いてくれる。
ファンの回転が止まるとそれを見つめる夫が息絶えると思い、常に回し続け、回りっぱなしのファンを掃除出来た日には大喜び・・・でイラに自慢するような、明るくて気丈な女性なのです。

その健気さを知ってしまうと、あの陽気なデカい声にも悲哀を感じてしまいます。
「信じてないだろ。料理は愛を深める。」という名言も、彼女ならでは。
皆、意外と目に見えるものを見てないんですね。。

シャイクの第一印象は?


サージャンが1か月後に早期退職するので、その後釜として入社してきたシャイク。
サウジアラビアで主任会計をしていたし推薦人も立派だと聞かされます。
でも、勤続35年のサージャンへの初めての挨拶が「同僚たちは寂しいでしょうね。今はどんな気分ですか?もうじき悠々自適、第2の人生だ。ご感想は?」とデリカシーが無い。
だから人嫌いで気難し屋のサージャンは数日間ずっと彼に仕事を教えず、ほぼほぼ無視状態を貫いてました。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


それでもシャイクは”墓穴だらけの愛想”を振りまき続け、思いつめた結果絞り出した言葉がサージャンの心を動かします。
僕はアスラム・シャイク。孤児です。この名前も自分でつけて、何でも独学で学んだ。仕事も独学で覚えますよ!」
ここでサージャンも観てる私も、彼の事を”チャラくて失礼な男”という表面的要素でしか捉えてなかったことに気付くんですよね。さすがのサージャンも心を痛め、彼から受けた数々の無礼を許してあげる事に…そして仕事を与えました。
「嬉しいです。感謝します。ありがとうございます。」と、3つの”あるべき言葉”を即答で返すところに、彼の培った人たらし像が見える。
追々サージャンの心を汲み取っていくにつれ本当の自分を見せていき、お互いに父&息子みたいな存在へと形を変えていきました。

シャイクの人生を考察するヒント

劇中では直接触れてませんが、シャイクの人生を考察出来うるヒントならいくつか登場しています。


サウジのホテルで働いていた


シャイクは、初めてサージャンと一緒の電車に乗り合わせた時、「(前職の)サウジのホテルでは、調理・ルームサービス・清掃から会計まで何でもやらされた。」
と語りました。
ん…?会計主任じゃなかったっけ? 結構なオーバーワーク。
気になって調べると、サウジアラビアって元々移民受け入れ国だったけど、移民労働者は人としての扱いをされてなかったそうです。
この映画が公開された2013年あたりからは非正規移住労働者を徹底的に洗い出し、数十万人の移民たちを投獄・送還し始めてたらしいです。(情勢に疎い私…勉強になりました。。)

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


そう知ると、シャイクがオーバーワークを課されてたのは移民だったからなのでは?と思えます。
そして、ここムンバイに移住してきた。サウジの政治政策による投獄を免れるべく辿り着いたのがムンバイだった。
思いがけずメルサニサと恋に落ちたけど、彼女と結婚する為にはステイタスが必要だった。
だからどんな嘘をついてでも正規就職し、彼女の両親を説得する必要があったのではないでしょうか?

「彼は孤児で背が低く、浅黒い。」


これはメルサニサの父が、シャイクと結婚する反対理由に述べた言葉。
インドでは、親から重要視される結婚条件として色白が挙げられるそうです。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


何故ならインドでは、南部で暮らす貧民層は顔が浅黒く、リッチな都会人ほど色白…という固定概念がまかり通っているから。
(インドの俳優さんでも、南部出身だと浅黒い傾向が強いそう。美白は必須みたい。)
しかもシャイクは孤児です(真実か自称かは別として…)。
そこで更に疑問に思うのは、サウジでのシャイクが移民だったとして、どこからの移民だったのか?という事です。

ブータンに詳しい


劇中、幸せの国ブータンに行きたいと言うイラの言葉を受けたサージャンが、シャイクに相談するシーンがあります。
「ブータンに住みたい」と…。
その時シャイクは、「僕はサウジしか知らないが…」と前置きしておきながらも、ブータンの物価の安さや価値・情勢を周知のようにスラスラっと教えます。「いつか行くかも」とも…。
そこでブータンについて調べてみると、やはり移民受け入れ国だったようで、1980年代からネパール系移民(ローツァンパ)が大勢流れ込んできました。
しかし、それが原因で国内分裂が生じ始めた為、80年代後半~90年代前半には政治的改正がなされ、ローツァンパ達は”不法移民”扱いに。
そして彼らはブータン難民と呼ばれ、迫害され、居場所を無くしていったのです。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


もし過去のシャイクがブータン難民だったなら、当時移民受け入れ国だったサウジに飛び込むのも納得ですし、「いつか行く」というのは…もしかしたらまだそこに両親がいるからなのかもしれません。。
そしてシャイクが言ってた母の名言は、生き別れになり単身サウジへ向かう息子への激励の言葉だったのかもしれません。(個人的な解釈ですが…。)

サージャンに振る舞った料理が激辛!

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


シャイクは、大好きなサージャンに自慢料理を振る舞いたくてたまりませんでした。 
彼の得意料理パサンダです。
流れから察するに、サウジのホテルでは調理と言っても野菜カットしか任されてなかったようで、味付けは幼い頃から馴染み深い自己流のもの。(「僕のレシピです!」と言って興奮してた♡)
彼のパサンダを食したサージャンは、辛さのあまり汗だくですww
ブータン料理は<世界一辛い料理>と形容されてるそうなので、このくだりでもシャイクがブータンで暮らしてた過去がある事を示唆してるように思えます。

サージャンのメガネが印象的!インテリ紳士な魅力


サージャンの几帳面さは、彼のデスクを見ても一目瞭然です。
年季の入った資料は丁寧にファイリングされていて、電話機や印鑑ケース、ペンなどが定位置にキチっと配置されている。
そしてコピー用紙の裏面を再利用した糊付けノートにも、物を大切にする性格が表れてますよね。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


それから、何といってもずーーーーっと気になってしまうのは彼の眼鏡。
凄く小ぶりでタイトなサイズ感、レンズも3cm幅くらいの楕円スクエア型なので、手のひらサイズのケースに収まっちゃいます。
ちょうどシャツの胸ポケットに入る、箸入れみたいな上品ゴールドケースが素敵♡
手紙を読むたび、弁当を食べるたびに眼鏡を付けたり閉まったりするので、どーーーしても目に入って来る。
手の動きはとってもエレガント。落ち着きがあり、どこかインテリ紳士っぽい仕草がツボです。
大人セクシーとはこのことかも…と見入ってしまいました。

ダンスシーンは皆無!音楽使いが素敵な映画

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


監督のこだわりで、インド映画お約束のダンスシーンは全く登場しません。
その代わり、挿入歌がいいスパイスになってる。
ダッバーワーラーや少年たちの合唱にはアナログな郷愁感があり、ストーリーに沿った歌詞で心を掻き立ててくれるし、イラが映画の題名をヒントにサージャンの名前を知る場面では、上の階のおばさんがカセットテープで映画「サージャン」の曲を流してくれる。
“恋しくてしかたない”風の恋の歌で、これを聴きながらウットリするイラは「サージャンて名前なのね」とトキめき、初めて女性らしい笑顔を見せるんですね♡
音楽モチーフのロマンチックさ、高揚感にシンクロし、自然なトキめき・・・・・・・が込み上げてくる。
2人の恋の始まりに、こちらまで嬉しくなってくるんです。

「美味しい」は親和性と一致する


「美味しい」という言葉は作った人を幸せにします。「完食」も同じ。
イラの場合、夫はお弁当をいつも残すし感想も言ってくれないので、空っぽのお弁当が帰ってきた時には”初デートの乙女”みたく喜びました。
見たこともなく、名前も知らないサージャンに親和性を見出し、思わず手紙を書いてしまった。
思わぬ誤送でお弁当を食べたサージャンも温もりのある美味しさに感動し、イラの手作りと知る由もなくわざわざ弁当屋さんに行って「美味しかった」と伝える。
弁当屋さんですらその言葉で幸せになり、その日入れてたカリフラワーを毎日入れるようになった。
(誤送先の夫、この日から毎日カリフラワーww)
「美味しかった」と伝わるのは、どんな作り手にとっても喜びなんだと表現されてます。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


因みに、シャイクがどうしてもサージャンに自分の料理を食べさせたかったのは、イラの弁当で幸せそうにしてるサージャンを毎日じっと見てたからでしょう。
料理を振る舞って、サージャンにもっと自分を知ってもらいたかった。
得意料理で幸せを分かち合いたかった。
激辛すぎて汗だくなサージャンだったけど、是非とも完食して欲しかった。
あのパサンダは、シャイクからサージャンへの信愛の証だったんですね。。

はやる心を抑えられないサージャンの可愛さ♡


日を追うごとに、サージャンのしかめっ面は和らいでいきます。
特にランチの時間は!
早く食べたくて、イラの手紙が読みたくて、届くやいなや弁当袋に手を賭ける。
ファスナー開けて匂ったりは当たり前、しまいにはフライング気味に弁当を掴み、足早に食堂へダッシュです。
お弁当袋を開ける前からすごくニッコリしてて、本当に可愛い♡
気が付けばシャイクという同席者も出来てたし、彼と一緒にイラのお弁当を食べるのが当たり前の生活になってた。
「味はどうだ?」とシャイクに尋ねるサージャンは、まるで妻を自慢する夫のよう。
2枚のチャパティを1枚づつ分け合う2人の姿は、あまりにも微笑ましい。幸せな風景。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


だから、シャイクが同席しに来なかった日は落ち着かない。
チャパティを分け合うのが習慣になっちゃったから、シャイクが同席しなかった日はチャパティを一枚残したお弁当がイラの元に帰って来るのですww

イラの作った料理が美味しそう!


イラが愛情込めて作る料理、あまりに美味しそう過ぎてお腹空きます。
黄色や赤のスパイスが香ってきそうな極上ビジュアルに悶絶です!
グリーン系の野菜が映えるカレー、大きなしし唐を糸で縛り上げた肉詰めなど、割と手の込んだレシピが登場します。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


銀の圧力鍋みたいなのでグツグツさせたり”ジャッ”と炒めたりと手際が良くて、横にはチャパティを焼くための平べったいフライパンが熱されてる。
お米が炊けたと同時にチャパティも焼き上がり、下の画像のような4段に積み重なった機能的弁当箱・・・・・・にパパっと詰め込んでいきます。それをバクバク食べるサージャン達の味わい顔・・・・にも俄然そそられちゃいます!

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


お昼ご飯時に観てしまい、思わずカレー粉に手を伸ばしてしまいました。
食堂に常備されてる銀の皿もいいですね。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


届いたお弁当の中身を、この銀の皿にザっと出して食べる。
嗚呼、、、反則的なビジュアル!
思い出してたら、またお腹が空いてきてしまいました。。


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娘を孤独にさせた、見えない自分


夫が浮気してる証拠は、シャツから漂う香水の匂い。
離婚する意を伝える為か、娘を連れて両親の元へ向かうイラ。
そこで弱り切った母と病床の父、2人の現実を目の当たりにします。
病床の夫の薬代を捻出するため、幼い頃のイラ&母の思い出が詰まったテレビ・・・・・・・・・・・すら売らないと生活できない現実。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


そんな母を見て悲しくなるが、横でボロボロの人形を抱く我が娘の悲しみには気付いてない。
母との思い出を結び付けたテレビ、そして我が娘が自分との思い出を閉じ込めた人形。
どちらもオンボロだけど、仲良く過ごした思い出が詰まってる。
サージャンの手紙を読む母(イラ)の姿を、目隠しした人形を抱きながらジッと見つめる娘。
娘にとっての目隠し人形は、母の秘密を見ないように振る舞う自分であり、自分を見てくれない母なのかも。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


そこで初めてイラは気づく。
自分可愛さのあまり、娘を孤独にさせていたことを。
そしてイラは、娘が抱くオンボロ人形の目隠しを外してあげる。
無意識に娘をないがしろにしてた…。そんな自分は、家庭に無関心な夫と同じだったのかも…と気付いたような、切ない表情のイラ。
みんな、意外と自分の事は見えてないんですね。

シャイクがお弁当をおねだりした理由に泣けてくる


いつの日からか、お一人様なサージャンと一緒にランチするようになったシャイク。
思い返せば、シャイクがお弁当のおねだり・・・・をしに来たのは、初めてサージャンと電車に乗り合わせた翌日からでしたね。
シャイクはサージャンの隣に座り、これ見よがしに自分の特技を見せたんです。それは野菜カットのテクニック。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


野菜をカットしながら自分の過去や愛するメルサニサの話をし、得意料理を振る舞うから家に来て欲しいと頼みます。(特技をアピールするため、大事な書類をまな板がわりにしちゃうww)
何とかしてサージャンと仲良くなりたかったんですよね。
サージャンのお弁当をおねだりし始めたのは、その翌日のランチからでした。

そして後になり、何故あの日からシャイクがおねだりし始めたのかが分かります。
サージャンと同乗した翌日、シャイクは1等席の定期を買ったんです。
1等席で通勤するサージャンと同乗して家に誘う為、そしてもっと親密になる為に…。
だから1ヵ月のランチ代を全て1等席の定期代に使っちゃった。
一緒の電車に乗れるけど、お昼ご飯を食べるお金が無くなっちゃったww

結婚式でシャイクの父親代わりをし、故郷へ帰ろうとした時に初めてサージャンは気付く。
シャイクは理由を濁したけど、全てを一瞬で察知したサージャンは心を熱くする。
だから「会いに来い。」と言い残したんですね。
あのシーンって反則ですよね!秒で涙腺崩壊しちゃいました。

変わる景色が愛を気付かせる


大人同士の恋はとっても鈍感。
社会的立場、培った人生観、ピュアな心の欠如なんかで色々鈍って来るから。
でもイラと心を交わし始めたサージャンは、駅を模写する絵描きにすらも気を留めるようになる。
同じ風景の絵ばかりが並んでるのを見ても、通る車や乗客によって1枚1枚微妙に違ってることに気付く。
繰り返す日常の中、知らぬ間に変わっていた景色にも。
イラへの恋心、シャイクへの父性愛に目覚めていく中で変わっていく景色。
隣近所の子供たちに優しくなり、ベランダから家族団欒を覗き見ても窓を閉められなくなった。
目が合って手を振る女の子、笑顔で手を振り返す自分。
部屋から聞こえ出した音楽、禁煙スペースになったベランダ。
シャイクと味を共有し、会話が生まれて楽しくなった食堂…。
その全てが一つになった時!初めて「愛」に気付く。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


「愛」に気付いた瞬間を大袈裟に描かず、少しだけ変わったサージャンの表情で魅せるあたりグッときちゃいます!
大人ゆえに「愛」に確信が持てなくなり、一時的に現実逃避したサージャンがそれを振り切った瞬間の表情。煙草を揉み消す仕草。
そこには男臭い決意が込められてました。そして、亡き妻への決別も。

「間違えた電車でも 正しい場所につく」


劇中、ブータン行き(イラとの恋)を相談してきたサージャンにシャイクが放った名言「間違えた電車でも 正しい場所につく」。
「母がよく言ってた。」と言うシャイクに、サージャンが「孤児だろ?」と絡むと「母が・・と言えば真剣に聞いてくれる。」とはにかみました。
自分で考えたと…。しかし先ほども考察したとおり、実際に彼の母が言った言葉なのでしょう。
シャイクはこの言葉を胸に刻んで生き抜いてきたはず。

『めぐり逢わせのお弁当』/甘いシネマ


この言葉はサージャンに伝わり、そしてサージャンからイラに伝わった。
シャイクの母は、息子が行きついた場所で新しい家族・人生が見つかる事を願い、信じ、この言葉をしたためたんだと思います。
そして、「間違えた電車」をいっぱい乗り継いでサージャンのもとに辿り着いた。
サージャン&イラにとっての「間違えた電車」は、ダッバーワーラーの誤送ですよね。
「間違えた電車でも 正しい場所につく」のは、本当でした。

委ねられたラストシーン、個人的な見解!


ラストシーン、2人の愛の行方は「そのあとは…その時わかることよ。」いうイラの手紙を通して私たちに委ねられます。
ブータンに行くと綴った手紙を手に、「ナーシクの郵便配達人にこの手紙を届けてもらうか、それとも私が持っていて時々読み返そうかしら。」と、部屋の外を見るイラ。何とも思わせぶり…。
でも、よーーーく何度も見るとちょっぴり希望が湧いてくる描写が含まれてる気が!

サージャンに渡すかどうかも分からない手紙に「娘が帰るまでに荷造りして、夕方の電車に乗るわ。」と書かれてました。
イラが娘を最後のスクールバス・・・・・・・・・に乗せた瞬間のサージャンに注目です。
サージャンはスーツ姿で列車に乗り、元職場付近で降りてダッバーワーラーに道を聞いています。
これってきっと、イラの家がどこなのかを訊ねてるんですよね。
ここで働くダッバーワーラーなら知ってるハズ。(お弁当袋に記されてた番号がどこに位置するのか、ダッバーワーラーなら知っている。)
これが早朝だから、その番号を担当するダッバーワーラーを探し出してイラの元へ向かえば、夕方までに間に合うはずなんです。

だから!2人はイラの家に一番近い駅で夕方に遭遇する可能性がありますよね?
サージャンはイラの顔を知ってるし…。
という事で、私の個人的な見解では♡2人は結ばれる♡!
そう強く確信してるのです。

まとめ



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今回は、愛すべきインド映画『めぐり逢わせのお弁当』について紹介させて頂きました。
楽しんで読んで頂けましたか?
インド映画って本当に奥深いですよね。
他にもたくさん心に残る作品があるので、今後も沢山紹介していきたいと思います。

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