<映画『秘密の花園』(1993年・アメリカ)あらすじ>
『秘密の花園』(The Secret Garden)は1993年、アメリカのヒューマンドラマ映画。 原作はイギリスの女流作家フランシス・バーネットの児童文学で、1911年に出版された小説です。 これまでも世界各国で映像化されてきた名作。 |
イギリス植民地時代のインド、裕福ながら親から愛されずワガママに育った孤独少女メアリーは、突然の大地震で両親を亡くし地震孤児に。 イギリス奥地の屋敷に引き取られます。 知り合いが一人もいない屋敷生活の中で様々な人と出会い、義父が幽閉した庭を見つけ、何かに導かれるように荒れ果てた庭を生き返らせていく。 そして庭が表情を見せるにつれ、封印していた感情も解放されていくのです。 やがてメアリーは大人の扉を開け、孤独や無感情と決別し始める…。 |
製作総指揮はフランシス・コッポラ<拘り抜かれた世界観>
本作の監督を務めたのは、ハリウッド初進出となったポーランド出身の女流監督アグニェシュカ・ホランド)。 その後主にTVシリーズで活躍、「コールドケース」「THE KILLING」「ハウス・オブ・カード」シリーズなどの人気作品を手掛け続けてますね。 そして製作総指揮はハリウッド映画界の巨匠、フランシス・コッポラ (Francis Coppola)。 |

コッポラ様が手掛けただけあって夢のような情景がたっぷり沁み渡っている。 細やかな心理描写も光ります。 ロケーションや小道具、モチーフ遣いに至るまで全てのこだわりがノスタルジック。 ついついガン見の美しさです。 |
<映画『秘密の花園』登場人物&キャスト紹介>-あの子役たちの現在は!?-
<メアリー・レノックス> 演:ケイト・メイバリー

メアリーは裕福だけど愛の無い家庭で育ったワガママ少女で、10歳の時に起こった大地震で孤児となりイギリス領下にある植民地インドから母国イギリスへ帰還させられます。 森の奥深くにそびえ立つ「ポツンと古城」に引き取られたものの、高圧的な家政婦メドロックの管理下に置かれて幽閉状態に。。 それでも、メイドのマーサや彼女の弟ディコン、従兄弟のコリンなどと秘密の友情を育み、幽閉された秘密の庭を一緒に蘇らせていきます。 演じてるのは、女優デビューしたてのケイト・メイバリー (Kate Maberly)(当時11歳)。 泣き方を知らず、「意地っ張りメアリー」とからかわれる程に心を閉ざしたヒロインにぴったりなアンニュイ顔がいい感じ。 この後もイギリスの短編映画やTVシリーズなどで活躍を続けました。 最近は脚本や監督業にシフトし、製作側でも頑張ってるようです。 |
<コリン・クレイヴン> 演:ヘイドン・プラウズ

コリンはメアリーと同い年の従兄弟で、異常なくらい病弱な男の子。 「ポツンと古城」の一人息子で、メアリーと同じく親の愛を知りません。 母は彼が生まれてすぐに亡くなりましたし、父である城主クレイヴン卿は妻の死で心を閉ざし、家を空けがちだったから。 しかし卑屈なひねくれ根性は、境遇そっくりなメアリーによって打ち砕かれました。 演じてるのはヘイドン・プラウズ (Heydon Prowse)(当時12歳)。 まん丸おめめの上目遣いがあざといですー! 小生意気さ満開、溢れる支配欲にドン引きしつつも満面の笑みに救われるww。 現在のヘイドンはTVタレントとして活躍。 プレゼンター・司会業でもお茶の間の人気を集めてるようですね。(著名人へのイタズラ電話も話題になってるようですww) |
<ディコン> 演:アンドリュー・ノット

ディコンはメアリー担当のメイド、マーサの弟で心優しき野生児。 ヤギやウサギ、鳥たちと会話が出来るし、メアリーの閉ざされた心にもすんなり入り込める神童っぷりが素敵。 ディコンって心のオアシスだし、死んだ花園をも生き返らせるパワーを持つ存在なんですよね。 演じてるのはアンドリュー・ノット (Andrew Knott)(当時14歳)。 どこか郷愁を呼び起こすノスタルジックな顔立ちに癒されまくりです。 神聖なる白い馬が似合い過ぎてます。 |
<メドロック婦人> 演:マギー・スミス

メドロック婦人は「ポツンと古城」で家政婦を務めるシニカル女性です。 異常なくらいコリンを病人扱いし、メアリーをじゃじゃ馬扱いして部屋に閉じ込めがち。 母を持たぬ2人に過干渉し、挙句の果てに「問題の種を封じ込めよう!」と焦ってしまうんですね。 彼女に過干渉されたコリンはベッドに閉じこもり、歩き方すら知らずに育ちました。 演じてるのはマギー・スミス (Maggie Smith)。 母国イギリスでは数々の映画・ドラマで女優賞にノミネートされまくってる国宝級女優! 有名どころでは『ハリー・ポッター』シリーズのミネルバ・マクゴナガル先生、それに「ダウントン・アビー」シリーズの未亡人バイオレット役など…。 彼女の登場で一気に緊張感が走りますね。 ちょうどいいギスギス感でストーリーを引き締めてます。 |
<アーチボルド・クレイヴン卿> 演:ジョン・リンチ

クレイヴン卿は「ポツンと古城」の城主でコリンの父親。 背中に大きなコブがあって、ちょっぴり不気味な存在です。 妻の死から10年間ずっと心を閉ざしていて、基本的にいつも無関心を装っています。 演じてるのはジョン・リンチ (John Lynch)。 悲壮感漂う刹那顔、伸ばしっぱなしのロングヘアー、真っ黒コーディネイトで悲しげ威圧感を演出してますね。 拒絶含みな潤んだ瞳で、愛の喪失⇔父性愛の狭間で揺れ動く感情を表現しています。 因みにジョン・リンチ、2020年に「THE HEAD」で難役を演じ切って話題になりました。 ワールドワイドな実力派俳優を結集した国際ドラマで、日本からも山下智久がキャスティングされたそうですね。(まだ未鑑賞だし、チェックしなければ…。) |
<映画『秘密の花園』心に残り続ける5つの理由とは?>
「忘れかけた何か」を掘り起こすノスタルジー風景
まず、メアリーが引き取られていく「ポツンと古城」への道のりから心捕まれます。 グリーン広がる広大な道のりの先に見える美しい古城。 夜は暗がりだし不気味なんだけど、日の当たる時間には優しい緑や木々のそよぎ、小鳥のさえずりまでが姿を現し包み込むような温かさが感じられます。 孤高の存在に見える城も、実は愛に囲まれてるんですよね。暗いと気付かないんです。 ヒトの心と同じ、見方次第で不幸にも幸せにも見えてくるものなんですよね。 |

因みに、劇中で使われた古城のロケーションはイングランド・ヨークシャーにあるアラートン・キャッスル。 劇中に映えるインテリアは、一部本物が使われたそう。 イギリスの作品ではよくロケ―ションに使われる場所で、結婚式も出来るんだそうです。 |

そして何といっても、舞台となる花園の美しさに心揺さぶられます。 メアリーとディコンがコツコツと蘇らせた花園。 けっしてゴージャスなんかじゃないけど、素朴な花が優しく咲き誇る秘密の空間。 |

ここは自分を見つける為の秘密基地であり、心開ける小さなサロン。 この花園を見ていると、大好きだったトモダチとか大人になる事への憧れ、夢見てた世界など「忘れかけた何か」を掘り起こされる気分になれるんです。 大人心に染むノスタルジー風景がここにあります…。 |
合わせ鏡の友情

メアリーの母とコリンの母は双子の姉妹でしたが、メアリーが城に引き取られるまで2人ともその事実を知らずに育ってきました。 先述の通り2人は真逆の性格だし、すんなり仲良くなったのも不思議。 でもそれは、カルマとなる負の共通点が共鳴し合ったからなんですね。 両親の愛を知らない事、誰にも導かれないまま心を閉ざしてる事、使用人としか喋ったことが無く誰にでも命令口調になってしまう事、笑顔が出来ない事。 全てが合わせ鏡の様にそっくり。 |
でもマーサやディコンと出会ったメアリーは一足早く覚醒し、頑ななコリンを導き始めます。 しかも見事な荒手療法で!(幼くとも女性は強いww) メアリーはアメと鞭の使い分けでコリンから笑顔を引き出し、やがて外に連れ出す事にも成功。 小さな子供同士が知恵を絞り、切磋琢磨しながら成長していく姿&友情劇にキュンとします。 |
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あのコマドリは母の化身だった?

孤独なメアリーを秘密の花園に導いたのは小さなコマドリでした。 あのコマドリだけが、幽閉された庭を自由に出入り出来たから。 コマドリってイギリスでは国鳥として親しまれてるそうで、童話や神話の常連さん。 「家族の霊」の象徴でもあるらしいので、もしかしたらあのコマドリって母の化身なのかも。 この庭はコリンの母のもの。 でも庭は幽閉されたし、コリンも城に幽閉状態。。 天国で心配していたコリンの母はコマドリの姿を借り、メアリーを導いたのでしょう。 |

因みにコマドリは火を象徴する存在でもあります。 そうなると、あの「火の儀式」にも話が繋がってきますね。 起承転結を担ってるんです。 |
ディコンの白い馬に込められた意味

ディコンの白い馬、コマドリと同じくらい気になっちゃいませんか? メアリーと出会う前からチラチラと見切れてる。(意味深演出すぎるww) だからディコン=白い馬というイメージ付けには、とっても深い意味が込められているのだろうと神話的観点から探ってみました。 スピリチュアル的に「馬」は目的地へ導く意味を持ちますが、中でも「白い馬」は「心を開いた後の勝利」を意味するそうです。 ディコンの役割にぴったり一致します。 メアリーとディコンの閉ざした心を開かせ、喜びをもたらし、あるべき姿へと導いたから。 「白馬の王子様」…という意味合いも含めると、とってもロマンチックじゃないですか? |
メドロック婦人に「一家の心」が投影されている

高圧的な家政婦メドロック。 城内のやらかし番長ですが、実は「皆の心(一家の心)」を投影したモチーフ的存在でもあります。 ストーリー序盤は皆、自分を守る為に何かしら逃げ道を探して藻掻いています。 父クレイヴン卿は妻の死&家族と向き合う勇気を封じる為に外出ばかり、メアリーとコリンは拒絶される恐怖を封じる為に心を閉ざし、ワガママ行動に走ります。 彼らは、そんな自分を隠したかった。 メドロック婦人はクレイヴン卿の外出癖を叶えるべく完璧な城を築き、メアリーとコリンの短所を世に晒さなくて済むよう幽閉という手段を使って「完璧に一家を守ろう」としたんだと思います。 彼女のやらかしは、一家が抱えるトラウマそのものだったんですね。 故に、メドロック婦人の暴走を止めること=殻を破ることなのです。 |
<最後に>

秘密の花園 [ ケイト・メイバリー ]
今回は、美しき文芸映画『秘密の花園』についてお喋りしました。
大好物な世界観です。
寒いこの時期、暖かいコーヒーを飲みながら浸るのにピッタリ。
心潤う感動作品です。
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~甘いシネマ~ <映画が観たい日だってある!>
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